時間あたりの生産性を向上させるため、改めてポモドーロテクニックの原典を読んでみた。
フィードバックループを回していない自分のこれまでのポモドーロはまったくポモドーロテクニックを実践できていなかった。
所感
私は今まで「ポモドーロって25分頑張って5分休憩すればいいんでしょ?」という感じで「やっていたつもり」になっていた。 「夕方の会議までx時間ほどコーディングできそうなのでポモドーロタイマーつかって作業するか」のようなノリだった。 今回本著を読んで私が行なっていたポモドーロは「もどき」だったとわかった。プログラマ的な言い回しでいうと「軽量ポモドーロ」だった。 ポモドーロはタスクをポモドーロ可能なまでに分割し予実績を付けながらフィードバックループを回す必要があった。
読み終わってからタイマーを買い1週間ほど実践してみたが、やろうと思って取り組むと1週間で10ポモドーロ程度しか完了できなかった。 改めてきちんとやるポモドーロがどんなに難しいか痛感した。見積もりがあまいこともわかった。 まだ実践1週間だが、ポモドーロ中は以前よりもしっか時間を使えている気がする。 その他にも意識的に1日の計画を練ることができ始めた。今まで「知ったか」してきちんと理解していなかったポモドーロテクニックの真価を実感できるようになった。
どんな本なのか
この本はポモドーロテクニック発案者のフランチェスコ・シリロ氏本人がポモドーロテクニックを解説した書籍である。 書籍の紹介文は以下の通り。
世界中のエグゼクティブが実践する 「ポモドーロ・テクニック」。 先延ばしを減らし、生産性を改善し、時短化する。 「ポモドーロ・テクニック」開発者による初の公式本!
ポモドーロ・テクニックは起業家フランチェスコ・シリロ氏によって提唱された時間管理&仕事効率術。 20年以上の著者の経験に基づいた時間管理と効率化システムは2006年にPDFで公開され、世界中で200万回以上ダウンロードされている。 国連、ノキア、ソニー・モバイル、トヨタ、レゴ、イタリア中央銀行などの組織からも評価されているメソッド。
■ポモドーロ・テクニックとは?■ どんな仕事も30分単位で分割し、「25分作業、5分休憩」。これを1クールとして繰り返す。 最大で4クールを終えた段階で15分〜30分のリフレッシュ休憩を織り交ぜ、再び「25分作業、5分休憩」に戻る(1週間で40クールがベストであると著者は導き出す)。
なぜ読もうと思ったのか
最近まとまった時間が取れず今まで以上に短時間で集中して成果を出すことが必要になった。
このようなとき私はポモドーロテクニックと思いながらChrome拡張機能で時間だけを計測していた。
そのような中、Kindleの日替わりセールで本著が安かったため改めてちゃんと読んでみることにした。
読んでわかったこと
ポモドーロテクニックの5段階
まずそもそもポモドーロの全体像を理解していなかった。 ポモドーロで25分計測したりするのはポモドーロテクニックの一部にすぎない。全ステップは次の通り。
何を | いつ | なぜやるのか |
---|---|---|
計画 | 1日の初めに | その日にすることを決めるため |
追跡 | 1日を通じて | 費やした労力など、必要な指標のもとになるデータを集めるため |
記録 | 1日の終わりに | 日々の観察でわかったことをまとめておくために |
処理 | 1日の終わりに | 生のデータを情報に変えるために |
視覚化 | 1日の終わりに | 恒常につながる理解を促し、改善への道すぎを明確化させるフォーマットで情報を示すため |
ポモドーロも他のプラクティスと同じくPDCAを回さないとまったく意味がないテクニックだった。
計画し、実践し、カイゼンする。そして実践のときタスクにどうやって集中するのか。このフィードバックループを回さないと真価を発揮しないと思った。
フィードバックループを回す
新しいポモドーロに入る際、最初の3~5分間をそれまでに学んだことの復習(直前のポモドーロで学んだことだけでなく)に充て、記憶に定着させるようにする。そして、最後の3~5分間をそのポモドーロで学んだことの復習に充てる(できれば最後から最初へと逆順にたどっていく)
1日の成果を高めるために、予定の立て方をどう工夫するべきか。それには観察とフィードバックを繰り返すことが求められる。その目的は、一定の活動の継続という概念をできる限り強めることだ。
見通す力を身につける
必要な作業を正しく把握できていなかったり、最も効果的な作業の仕方を見極めていなかったりすると、ポモドーロの数が見込み数を超えることになる。 ポモドーロ・テクニックでは、想定外の作業はそれが生じたときに記録されることになる。そうした作業の性質を観察・理解することによって、推測力と計画力に磨きをかけられる。
「5〜7ポモドーロを超える作業は分割する」というルールにより測定対象となる作業が細分化される。
分割された作業は理解しやすく、したがって見通しを立てやすい。だから誤差が減る。作業の分割(といっても過度な分割ではない)によって、よりシンプルな解決策が見えやすくなる。
最適なタイマー
ポモドーロタイマーの選び方も間違っていた。 私は「残り時間が見えると気が散るかな?」と思って意図的に時間を見ないように、あるいは時間が表示されないものを選んでいた。 しかし本著によると、タイマーは次の条件が必要らしい。
次のような条件を満たす必要がある。
・ゼンマイ式であること。ゼンマイを巻き上げることが作業に取りかかるという宣言になる。
・残り時間がはっきりわかり、時間の進む音が聞こえるタイプであること。それによって時間の経過を感じ、集中力を維持できることになる。
・時間の終了をはっきりした音で知らせるタイプであること。
アプリなどでタイマーを利用する場合別のウインドウなどで隠れたり、PCではなくてスマホでタイマーアプリを使っても通知を見たりして気が散ってしまう。 ゼンマイ式までは厳守しなかったが物理タイマーを買ってみることにした。
これは25分、5分があらかじめ用意されており、「振る」とタイマーを開始できるので「作業開始スイッチ」としてもよい感じ。
タイマー時間を設定できる機能もあるので、瞑想するときのタイマーとしても使えて非常に良い買い物をした(何よりリーズナブルなので失敗しても問題ない)。
内的中断
本著では作業中の割り込みを内的中断と外的中断に区別している。そして内的中断を如何に回避するか言及している。
仕事や勉強への集中を邪魔する最大の原因は、私たち自身の頭の中にある。 ポモドーロ・テクニックでは、そうした要因を紙やスマホ、パソコンに書き留め、ポモドーロが終わった後で対処する。こうすることで、それぞれの用件が本当に重要なのかどうかを見極める時間が得られる。
内的中断が次々に起こるのは、安らいだ気持ちで作業や課題に取り組めていないというメッセージを心が発するからだ。その原因は、うまくできないのではないかという不安から生じる恐怖心かもしれない。あるいは目標が複雑すぎたり、時間が足りないと感じているからかもしれない。心理的な自己防衛機能で、心がもっと安らげることをさせようとするのだ。
今までは「なるべく他のことは考えないこと」がプラクティスだと思っていた。が、それは不可能だと認めて内部的中断が発生する前に一度脇へ逃すのがプラクティスだった。
モチベーションとポモドーロ
ポモドーロ・テクニックでは、3つの要因がモチベーションの向上につながる。
・1日にいくつかの作業を完了させることは過度に単純でも複雑でもなく(ルール: 5~7ポモドーロを超えるものは分割する)、あなたが目標に到達する助けになる。
・日常的に自分を高めていくことに直接的な影響を及ぼす。
・継続的な観察と測定により、自分の能率や進捗具合を意識できる
作業を制御可能なレベルに分割し、集中と予実を比較する意識を身につけるのがポモドーロなのかなと思った。
上記以外にも本著にはチームでポモドーロテクニックを活かす方法なども紹介されている。
今後どう活かすのか
1週間実践してみて有効だと思ったので継続して実施しようかと思っている。まだ1日の結果を記録する方法を決められていないので早めに決めてさらなるフィードバックループを回していきたい。
参考
- Pomodoro Technique 再入門 - 今まで僕のやっていたものがポモドーロテクニックは全然理解せずにやっていた違うものでした