コーチングに興味をもって1兆ドルコーチを買ったけれど、仕事や仲間に対する姿勢についてとても感銘をうけた。
所感
仕事そのもの、仕事で関わる人たちへの気持ちが変わった。 プロフェッショナルとしてどう仕事に取り組むべきかを書かれた一冊だった。 今読んでいるHARD THINGSでもビルは登場していて、その影響範囲の広さに驚いている。
どんな本なのか
この本はシリコンバレーで多くのIT企業のコーチングを行ない数々の企業を成功に導いたビル・キャンベルの教えをまとめたものだ。 潰れかかっていたアップル、スタートアップだった頃のグーグルでコーチを行ない、Amazonでクビになりかかっていたジェフ・ベゾスを留任させたとあればタイトルの「1兆ドルコーチ」は誇張どころかその額が足りないくらいだと言うのは自明だろう。
なぜ読もうと思ったのか
コーチングなどに少し興味がでていたのでタイトルに惹かれて購入した。 「超すごいコーチはどのようにコーチングしているのか?」ということを知れればよいと思った。
読んでわかったこと
読む前はシリコンバレーのIT企業の「成功の秘訣」に類するものと聞いて定量的なナニカや科学的な分析が述べられていると想像していた。 しかし、ビルの教えの中心は「愛」だった。人を観察し人に寄り添い互いに信じ合うことが成功の秘訣だった。 思ったよりも(というか大半が)精神論だったことに驚いた。しかし予想外だったことに対する驚きはあったものの、内容には非常に同感できた。
信頼とは、つねに意見が合うということではない。むしろ、信頼している相手には異を唱えやすいのだ。この二人のほかにも、ビルと仕事をした人たちから同じような話を数え切れないほど聞いた。
昨今話題になることが多い「心理的安全性」もこの類だろう。意見が合わなかったときこそ心理的安全性が試される。
ビルは4つの資質を人に求めた。まずは「知性」。これは勉強ができるということではない。さまざまな分野の話をすばやく取り入れ、それらをつなげる能力を持っていることだ。ビルはこれを「遠い類推」〔かけ離れたものごとをつなげる発想〕 と呼んだ。そして「勤勉」であること。「誠実」であること。そして最後に、あの定義のむずかしい資質、「グリット」を持っていること。
多くの企業を成功に導いたビルが求める性質は自分が仕事で満たすべき性質とも一致するはずだ。 1週間の振り返りなどで「今週自分は正しく振る舞えていたか?」自問していきたい。
シェリル・サンドバーグは2001年末のグーグルに入社した週にビルと初めて出会い、君はここで何をしているのかと聞かれた。当時シェリルは「事業部ゼネラルマネジャー」の肩書きで採用されていた。彼女が来るまで存在もしなかった職務だ。じっさい、グーグルには事業部などなく、彼女が運営すべきものはまだ何もなかった。 シェリルが財務省から来たと答えると、ビルはさえぎって言った。それはわかったが、 ここで 何をしているんだ? そこでシェリルは、これからやろうとしていることを答えた。ビルは納得しなかった。そうじゃない、ここで何をしているのか? シェリルはとうとう本当のことを認めざるを得なかった。いまのところ、何もしていないのだと。 「あのとき本当に大事なことを学んだ」とシェリルは言う。「大事なのはそれまでやってきたことでも、これからやろうとしていることでもなく、日々やっていることなのだと」 これはおそらく、ビルがチームメンバーに求めた最も重要な資質だろう。
このあたりも非常に胸に刺さった。今何をしているのか?今何をすべきなのか? 毎日今日は何ができたのか?それを積み重ねることが誠実さや勤勉につながるのかなと思う。
もちろんタイトルどおり、コーチングで必要なこと、マネジャーに求められる資質・態度なども多く記載されている。
今後どう活かすのか
社会人としてどのような気持ちで仕事に取り組むのか、どのような基準で日々を過ごすべきかとても参考になった。 定期的に読み直して「私はちゃんとできているか?」の確認に使いたい一冊だった。