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Aug 31, 2021 - 8 minute read - Comments - review

[書評] 早く正しく決める技術

毎日の中で迷いがあったり下した決断で不安になったりすることがあるので手にとった。
決断力の育て方だけでなく、直感力の重要性など多くの学びがある本だった。

所感

少ない文量で表題についてよくまとまっていた。決断力だけでなく、直感力、結果検証がうまくいかない要因など、多くの知見を学べる1冊だった。
「この時代の日本になぜ決断力が必要になるのか?」といった背景から日本の少子化問題を題材にした実践例などトピックがわかりやすいのもよかった。
全体を通してはロジカルな内容になるが「直感」についても触れられていたのが良かった。。以前読んだ別の本でも直感の重要性が述べられていた。
より多くのフィードバックを回して良い経験を積み直感力を鍛えるのも早く決めるために必要なのだと感じた。

どんな本なのか

Amazon書籍紹介より引用。

「決めることが苦手」「なかなか決断できない」という人は必見!
日々の仕事で決めなければならないことが多いのに、決めるのに時間がかかる、という人は多いと思います。
そこで本書では、早く正しく決めるために大切な、世界基準のルール「数字、ファクト、ロジック」の使い方を、ライフネット生命CEO兼会長の出口治明氏が解説。「PM10時までのコールセンター」「妊婦さんでも入れる保険」といった、同社が業界で初めて行なった具体例を挙げながら、それらがどのような発想で決まったのか、意思決定の手順を紹介します。
「数字、ファクト、ロジック」を使えば、結果につながる決断ができます!

出口氏は60歳になってから生命保険会社をゼロから開業し、2021年現在は立命館アジア太平洋大学学長である実業家。
還暦から起業するのもすごいが、取り扱う保険も今までにない「妊娠19週目まで入れる保険」など枠にとらわれない決断をこなしている。
そのような著者が余計なことに考えを邪魔されず、早く正しく物事を決めるために必要だと思うことをまとめたのが本著である。

なぜ読もうと思ったのか

しがない1プログラマでも仕事をしていると毎日決断が必要になる。プライベートでも人生に影響を与えるような決断はしばしばある。
慎重すぎるせいなのか他者より決断が遅いと感じることが多く手にとった。
Kindleの半額セールで購入し詰んだままだったのだが、ページ数も紙計算で160ページほどなので技術書を読む間の気分転換に読んだ。

読んでわかったこと

読んでなるほどと思ったトピックをいくつかピックアップする。

「意思決定」と「提案を通す」ことは別

意思決定をしたあとに、今度は「どうやってこの案を通そうか?」という方法について考える必要が生じてきます。でも、これを考えるのは意思決定の「あと」の話です。一緒に考えてしまうから、混乱するのです。 決断ができないと思っている人は、意思決定と、提案を通すこととの区別がついていません。

たしかに仕事で決め事をするときは上記の2つを一緒に考えがちだった。もちろん決定したことは採用されないと意味がなくなってしまうからセット(同時)に考えたほうがよいという見方もある。
ただ、「決断を早くする」ためにはまず問題を最小に考える必要があり、「どうやってこの案を通そうか?」はあとで考える癖をつけたいなと思った。

「数字」、「ファクト」と「ロジック」で決断する

数字からファクトをつかむようにすれば、一見耳に聞こえのいい話も事実を捉え直すことができたり、理解を深めたりすることができます。

日本語でなんとなくわかったような気分になっても、よく考えられていない意見であれば、他の言語に訳すことができず、相手には通じません。「これは日本の伝統だ、文化だ」と言ったところで、それで外国人に通じるはずもありません。そんなものは仕事の役に立ちません。本当によく考えられた意見なら、相手がわかるように言い換えることもできるし、絵や図にもしやすいでしょう。 人に何か伝えたい意見があるときは、それを他の言語や絵、図に書き直すことができるかどうか一度試してみるといいかもしれません。

データにあたる場合、基本的に他人の意見は無視すべきです。数字、ファクトだけを見るのです。面倒がらずに、二次情報ではなく一次情報を探してください。

この企画を好きか嫌いかと問われれば、僕自身は正直なところ今でもおそらく「嫌い」です。 60代では無理もありません。でも、ビジネスの中に「好きか嫌いか」という感覚的な話を持ち込むべきではないのです。ビジネスは、主観や好みではなく、あくまで数字・ファクト・ロジックでのみ判断すべき世界なのです。

一般的に言われていること、社会常識だと思われていることをそのまま鵜呑みにするのではなく、「本当にそうか?」「他に違う考えはないか?」と疑ってみる。数字・ファクト・ロジックを使いながら掘り下げて考えれば、「これが答えだ」というものがきっと見つかります。答えが腑に落ちているからこそ、ハッキリと決断ができるのです。人は何事でも、腹落ちしてはじめて主体的に行動できる動物なのです。

(直感で動くことができないもう1つの理由は、)「人にどう思われるか」といった、仕事に直接関係ないことを考えてしまうことです。上司や周囲に褒められたいというのも、仕事の目的からしたら本来はまったく関係のないことです。

当然の内容だが、こう言われるとできていないところも多いなと感じた。他者へ説明できない時点で正しく理解できていないというのはもっともだ。
一方で他者への説明のときだけに「数字」「ファクト」を使うのではなく自分のの中の決断でも「感情(好き嫌い)」を取り除く必要がある。 もしかしたら「好き嫌い」ではなく「めんどくさい」という感情なども含まれるだろう。これはかなりストイックにしないと難しそうだ。

ふり返りに失敗するのは計画が甘いから

結果の検証が十分できないというのは、往々にして計画が甘いことが原因です。
実行自体はいいとして、計画が甘いからチェックができず、したがって改善策もなかなか出てきません。

ISUCONの記事でも引用したが、曖昧な計画を基に実施された得られた結果からは正しくフィードバックループが回せない。
毎日の行動からより多くを学ぶにはまず仮説でも決断をしてそれに対してフィードバックを考え得ないといけない。 最近反射的な設計をしていたり、時間を取らずになんとなくで目標を設定していたのでよくないなと感じた。

直感力

直感とは、決して「あてずっぽう」のようなものではありません。無意識レベルでの脳内検索の結果です。「これは大事なことだ」と判断すると、脳がフル回転して、脳の中にある情報を瞬時にサーチし、最適解を見出すのです。これまでの人生で得てきた情報をフルに使って最もいい答えを出しているのですから、それは絶対的に正しいといえます。

直感は、今まであなたが生きてきて、インプットされたものの集積です。まずは「直感は正しい」ということを信じていただきたいと思います。

しかし、自信がないからといって決断を先延ばしすることはさらに意味がありません。とにかく時間を区切って決めるしかないのです。決める訓練を通じて、自信はついていくものです。
結果的にうまくいかなかったとしても、その経験があなたの直感をさらに鋭く鍛え上げることでしょう。

直感はその人にとって常に正しいのです。今後さらに情報が増えていけば、もっと別の選択肢が出てくるかもしれませんが、今の直感が「今の自分のベストの解」なのです。
直感を鍛えるためには、インプットを増やすことです。無意識の脳に投げ込まれた経験や情報が多くなればなるほど、直感の精度は高まっていきます。

将棋の羽生善治氏の直感力にも似たようなことが述べられていた。
経験に裏打ちされた直感は(その人が出す解として)間違っていない。その直感の理由を他者に論理的に説明できるとベストなのだろう。
より多くの計画、実践、振り返りを繰り返した経験の積み重ねが「直感力」につながる。

その他ハッとした部分

他にもトピックはたくさんあり、以下の引用部分も非常に興味深かった。

「愚痴を言う。人を羨む。人に褒めてほしいと思う。人生を無駄に過ごしたかったらこの3つをどうぞ」

7割くらいの確率でいけると思ったら、決めて動く。うまくいかない部分を見つけたら軌道修正し、足りない部分は動きながら完成させていきます。

リーダーは方向を示す人であって、なんでもかんでも決めるのがリーダーではありません。リーダーがすべてを決めていたら、それこそリーダーの顔色をうかがう部下が増えるだけでしょう。数字・ファクト・ロジックではなく、「リーダーが好きそうだから」という理由で提案を持ってくるかもしれません。 部下がとることができるリスクの範囲内で、部下に決めさせることが大切です。

今後どう活かすのか

持論や提案について説明するとき、まずは少しでも数字を意識した根拠をあげられるようにする。
数字自体もより1次ソースを使って説明したい。「なぜそう決めたのか?」という根拠を大事にしておき、結果と根拠、当初の意図から振り返りを行なうようにする。

また、ブログの更新やプライベートの活動が全然できていなかったので以下の言葉はギクッとした。 ブログに限らず、毎日30分でも時間を設けて少しずつでも進捗を出していこうと思う。

「忙しいのに、よく続けられますね」と言われますが、執筆する時間のルールを決めてしまえば、意外と簡単に続けられます。「時間がなくてできない」と言う人は、ルールを決めておらず、たとえば、「時間が空いたらやろう」と考えているからできないのです。

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