チームの文化を作るために必要なことはなにか知るためにTHE CULTURE CODEを読んだ。
所感
同じ会社で開発しているチーム同士でもチームそれぞれで文化は異なる。どうやって文化を作るのか、どんな文化を目指すのかがまとめられていた。
参考事例として挙げられている組織もGoogleからPixar, Navy SEALsとさまざまだったがどの組織にも言えることは文化が確立されていることだった。
文化を作りある目的に対して一体感を醸成しつつ同調圧力はつくらない。
個々人が最大限のアウトプットを出せてお互いが相乗効果を生み出せるチーム文化を考えるためによいヒントがたくさんあった。
どんな本なのか
https://www.amazon.co.jp/dp/B07L2HDSHH
Amazonの商品ページの紹介文より引用。
NYタイムズ・ベストセラー作家が解き明かす「最強チームをつくる極意」
大きな成功を収めるチームには、いったいどんな秘密があるのか?
未来のリーダーが結束力のあるチームをつくるには、どんなツールを使えばいいのか?成功しているチームの文化はどこから生まれるのか?
どうやって自分のチームにその文化を創り、そして維持していくのか?
チームの文化に問題があるなら、どうやって改善すればいいのだろうか?
なぜ読もうと思ったのか
最近NetflixのNO RULESを読んでとても共感しぜひ参考にしていきたいと思った。そのNO RULESの中で紹介されていたので手にとった。
読んでわかったこと
引用末尾の数字はKindleの位置。
チーム力を醸成する文化
この本ではチーム力を醸成する文化は次の3つであると述べている。
- 安全な環境を作る
- 弱さをみせて信頼関係を築く
- 共通の目標をもつ
組織の中で働く上でチームビルディングが不要と考える人はいないだろう。すぐ思いつく目的は「お互いを知る」や「ミッションやビジョンの共有」である。 最近よく話題に上がる心理的安全性を挙げる人もいるだろう。本著で信頼関係を築くためには「弱さを見せること」が必要だと述べている。
小さなシグナルを送り続ける
安全な環境、適切な関係を作るには「小さなシグナルを送り続ける」ことがたびたび示されていた。具体的なシグナルの内容の例をあげると次のとおり。
- あなたはチームの一員であること
- このチームは特別であり、高いレベルが期待されている
- あなたにはそのレベルに到達する力があると信じている
- あなたの話を聞いている
シグナルを送るにはすべてを見逃さない注意力と、正しいときに正しいシグナルを正しい相手に送る能力が必要になる。
弱さの開示が協力関係を築く
弱さを見せるということは「黙っていなくていいよ」「ここでは自分の立ち位置を考える必要はないんだよ」というメッセージをおくりつづけることだ。
「メンバーの誰かが弱さを見せると、チーム全体がリラックスした雰囲気になるんだ。つながりが深まり、信頼感も深まる。誰もが『弱さを見せる』というモードを感じ取り、『このチームでは強がらなくてもいいんだ』と安心するからだ。そこから思いやりと助け合いの精神が生まれる。1,908
信頼しているから弱くなれるのではなく、信頼より先に弱さが存在する。未知の世界に飛び込むときに、他の人も一緒であれば、信頼という安定した足場が生まれることになる。1,963
「これを発言すると馬鹿にされるかもしれない」「これを発言すると人間関係に影響があるかもしれない」という心配は個々人の中でステータスマネジメントをすることになる。世間体(チーム内の力関係)や人間関係を気にし始めるとビジネススクールの学生のチームでも幼稚園児のチーム以下の成績しか出せなくなる。(本著Introduction内で紹介されている高い構造物を作るゲームより)
また、チームリーダーは状況的謙虚さを常に示し続ける必要がある。状況的謙虚さは権威関係によってコミュニケーションが阻害されてしまうことを防ぐ方法だ。
- 私自身が、「正しい答えを持っているわけではないこと」をメンバーに自己吐露すること、
- だからこそ、「私自身も、アンテナ高く、状況から学んでいく必要があること」をメンバーに自己開示すること
失敗の科学でも航空機業界の乗務員が上下関係によって発言を萎縮しないための制度としてクルー・リソース・マネージメント(CRM)が一例として挙げられていた。
「リーダーとして、もっとチームに対して責任を持たなければならない。ここでの問題は、人間は権威に弱いということだ。上官から何かを命令されると、ほとんど本能的に従ってしまう。たとえその命令が間違っていたとしても。つまり、誰かが誰かに命令するという意思決定法は、とても危険だということだ。2,463
「そもそも、いつでも正しい人なんて存在しない。それでも、自分の行動を厳しくふり返り、真実を追求することを習慣にしていれば、全体像が見えるようになってくる。お互いに自分の経験や失敗を話すのはそのためだ。自分の行動が他のメンバーにどんな影響を与えるのかがわかり、しだいにチーム精神が育っていく。互いに協力し、チームのポテンシャルを最大限に発揮できるようになるんだ」2,608
NetflixのNO RULESでは「会社が君らを雇っているのは、意見を聞くためだ。会議室にいる人間は全員、率直な意見を言う責任がある」という一文が紹介されている。そんなの当然であるといえば当然だが、では発言者が執行役員でも反対の意見を根回しなしでどうどうと言えるか?というと誰しも躊躇してしまうだろう。組織のコミュニケーションを活発にするにはより上の立場の者から積極的に弱さを開示しインプットがほしい(私にアウトプットしてほしい)という気持ちを全面に出していかないといけない。
チームは何をすべきなのか?を明確にする
成功しているチームを取材していてわかったのは、どのチームも共通の価値観や目的がはっきりしているということだ。たしかにどんなチームも、部屋の飾りなどで価値観を表現することはある。しかし成功しているチームは、並外れてそれを徹底しているのだ。3,040
失敗はどのチームにもある。成功しているチームの違いは、失敗を生かして、自分たちの目標や価値観をより明確にしていることだ。 成功しているチームのリーダーは、感謝の気持ちで過去の失敗をふり返る。
(中略)
キャッチフレーズを社員全員で暗唱したりするだけでは、本物の目的意識は生まれない。「挑戦」「失敗」「反省」「学習」の終わりのないプロセスを通して、目的意識は形づくられていく。3,880
安っぽく聞こえるのは、キャッチフレーズの欠陥ではない。むしろ仕様だ。安っぽい言葉には、わかりやすい、人の耳に届きやすいという長所もあり、それがキャッチフレーズ本来の働きだ。 効果的なキャッチフレーズの特徴は、シンプルであること、行動志向であること、そしてわかりやすいことだ。3,933
これらについては「凝ったキャッチフレーズを考える必要はなくシンプルでよい」というのは確かになと感じた。そしてキャッチフレーズを掲げるだけでは意味がない。
日々のフィードバックループの中を通して、「価値観に基づいて考えるとどうすべきか?」「我々の目的と合致する選択肢はどれなのか?」を考え続ける必要がある。
「文化はルールで表現されるものではない。自分たちの行動でしか自分たちの文化を示せない。」ということはWHO YOU AREでも触れられていた。
NO RULESも根幹は「優秀で自立的なメンバーの集団ならば価値観の共有さえできればルールで縛る必要はない」という主旨だった。リーダーは常にビジョンや価値観を発信し続け、自らそれを行動で示さないといけない。
今後どう活かすのか
今はテックリードで文化やプロセスの土台を検討する立場でもあるので本著に書かれたことを意識しながら引き続き実践していきたい。
今まで読んできた本とconnect the dotsしてきたのもよかった。ただ読んだ本の参考文献をたどって次の書籍を選んでいるところもあり、やや「確証バイアス」に陥っている可能性もある。今まで読んだチームマネジメント系の書籍とはまったく関係なさそうな本を選んでもいいのかもしれない。
ただ、こういう本を読んでいることを公表していると、業務中に「あ、今本に書いてあったあのテクニック使ったな」って思われちゃうのはしょうがないか(まあ公表していなくてもわかる人にはわかるし)。